小田原市のもてぎクリニック院長の茂木秀明です。私は脳神経外科医として、頭痛・めまい・しびれ・脳卒中の疑いなど、日常で起こりうる「見逃したくないサイン」を丁寧に見極める診療を大切にしています。手足のしびれは、寒さや姿勢など身近な原因でも起こりますが、まれに脳梗塞やTIA(一過性脳虚血発作)の初期症状として現れることがあります。症状の背景をわかりやすく整理し、必要に応じてMRIなどの検査を医師が判断します。不安を抱えたままにならないよう、日常での見分け方と受診の目安を解説します。
1.手足のしびれは寒さ?それとも脳?放置すると危険なしびれを解説

冬場や冷えた環境で「手がじんじんする」「足先の感覚が鈍い」と感じる方は少なくありません。一方で、しびれ(脳が原因)の場合は、突然・片側だけなど、特徴がはっきりしていることがあります。脳梗塞 初期症状やTIAを見逃さないために、ポイントを整理します。
まず知っておきたい:しびれの原因は「寒さ」だけではない
しびれは大きく分けると、原因が主に次の3つに分類されます。
- 末梢(手足の神経):手根管症候群、肘部管症候群、坐骨神経痛、糖尿病性神経障害など
- 首・腰(神経の通り道):頚椎症、腰部脊柱管狭窄症など
- 脳・脊髄(中枢):脳梗塞、脳出血、TIA など
寒さは血流低下や筋緊張を通じてしびれ感を強めることがあり、「冷えると出やすい」しびれは珍しくありません。大事なのは、“寒さで起こりやすいしびれ”の中に、脳のサインが紛れることがある点です。
2.「寒さ由来のしびれ」の特徴
寒さや環境要因で起こりやすいしびれには、一般的に次の傾向があります。
- 両手・両足など左右対称に出やすい
- 温める・動かすと軽くなることが多い
- 皮膚の冷たさ、こわばり、血色の変化などが同時に起こることがある
- 姿勢(長時間の同じ姿勢、肘をつく、正座)で誘発・悪化しやすい
ただし、これに当てはまるからといって「脳は絶対に違う」とは言い切れません。逆に、次の項目に当てはまる場合は、脳卒中の可能性も考えて行動することが大切です。
3.「しびれ 脳」を疑うべき危険サイン:脳梗塞 初期症状の見分け方

脳卒中(脳梗塞・脳出血など)は突然症状が出ることが多く、典型的には「顔・腕・言葉」の異常が手がかりになります。
ACT-FASTでチェック(周囲の人も使える)
日本脳卒中学会の啓発資料でも、ACT FASTが強調されています。 日本の科学技術学会
- Face:片側の口元が下がる/笑うと左右差
- Arm:片腕が上がらない・力が入らない(しびれ+脱力)
- Speech:ろれつが回らない/言葉が出ない・理解しづらい
- Time:出た時刻を確認し、すぐ行動(救急要請を含む)
そして、次のような症状がしびれと同時に出た場合は、より注意が必要です。
- 片側の手足のしびれ+脱力
- 言葉のもつれ、会話が噛み合わない
- 片目が見えにくい、視野が欠ける
- ふらつき・歩きにくさが突然出た
- これまでにない激しい頭痛
「様子を見る」より、緊急性が高い可能性を前提に行動することが安全です。
4.TLA(一過性脳虚血発作)とは?「治ったから大丈夫」が危ない理由

TIAは、脳梗塞と似た症状(片側のしびれ・麻痺、言葉の障害など)が出ても、短時間で消えてしまう発作です。
重要なのは、TIAが将来の脳梗塞のリスクサインになり得ることです。研究やガイドライン文献では、TIA後の脳梗塞が早期(とくに48時間以内)に起こる例が多いことが示されています。
参考元:J-stage 一過性脳虚血発作急性期入院患者における 脳梗塞発症リスクに関するABCD2スコアを用いた検討 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/33/1/33_1_25/_pdf/-char/ja?utm_source=chatgpt.com
つまり、
「しびれが数分で消えた」「今日はもう平気」=安全
とは限りません。
5.MRI 早期発見は何が強み?どんな検査を組み合わせる?

脳卒中が疑われる場面では、医師が症状・経過・持病などから必要な検査を判断します。一般に、評価でよく用いられるのは以下です。
- 頭部MRI:小さな脳梗塞の検出に役立つことがある
- MRA:脳や頸の血管(狭窄・閉塞など)の評価
- 頸動脈エコー:頸動脈の動脈硬化や狭窄の確認
- 心電図・心房細動の評価:不整脈は、脳梗塞の原因検索で重要(必要に応じて)
ただし、TIAでは画像で明らかな梗塞が写らないこともあり得ます。だからこそ「症状の内容(何がどれくらい続いたか)」がとても大切です。
6.自宅でできる対策:寒さ・姿勢・生活習慣の“できる範囲”を整える

寒さ対策(末梢のしびれが出やすい人)
- 首・手首・足首を冷やさない(3首の保温)
- 入浴や温罨法で「温めて軽くなるか」を観察
- 長時間の屋外作業では手袋・靴下を工夫
姿勢・圧迫の対策
- PC作業で肘をつく、手首を反らす姿勢を減らす
- 同じ姿勢が続くときは1時間に1回は立つ・軽く動かす
- 正座や足組みを長く続けない
脳卒中予防に関わる生活習慣
脳卒中の予防では、「高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・多量飲酒、不整脈(心房細動)」などの管理が重要とされています。
気になる方は健診結果の見直しや、かかりつけ医への相談が一つの方法です。
7.受診の目安:救急か、近日受診かの判断ポイント

迷わず救急要請を考える(または救急受診)
- 片側のしびれ+脱力、言葉の障害、顔のゆがみ
- 症状が突然始まった
- 一度治っても、短時間の発作を繰り返す(TIAの可能性)
近日中に相談(症状が続く・繰り返す)
- 温めても改善しにくいしびれが続く
- しびれの範囲が広がる、夜間に悪化する
- 首や腰の痛み、手の細かい動きづらさがある(末梢神経・脊椎の可能性)
しびれの原因は一つに決めつけられません。医師が必要に応じてMRIなどの検査を判断し、脳が原因かどうかも含めて整理していきます。
8.まとめ:寒さのしびれに紛れる「危険なしびれ」を見逃さない
- 寒さで起こるしびれはよくありますが、突然の片側症状や言葉・顔・脱力を伴う場合は要注意
- 脳梗塞 初期症状やTIAは、「治ったから大丈夫」とは限りません
- MRI 早期発見は状況によって有用で、症状と合わせて総合的に評価します
- 不安が続く場合は、早めに専門の医療機関へ相談することも一つの方法です
- もてぎクリニック(小田原市)では、症状の経過を伺いながら、必要に応じて検査の判断を行っています
9.Q&A(よくある質問)
Q1. しびれが「片側だけ」だと、脳の可能性が高いですか?
片側のしびれは脳卒中で見られることがありますが、末梢神経や脊椎の病気でも起こり得ます。突然発症、脱力や言葉の障害を伴う、「短時間で治っても繰り返す(TIA疑い)」などがある場合は、より慎重な対応が必要です。
Q2. TIAはどれくらいで治るのですか?
TIAは短時間で症状が消えることがあり、画像で明らかな梗塞がない場合もあります。ただ、TIA後は早期に脳梗塞が起こるリスクが示されているため、症状が消えても受診の検討が大切です。
Q3. MRIを撮れば「脳が原因か」100%わかりますか?
MRIは非常に有用な検査ですが、状況によっては写らないこともあります(特にTIAなど)。症状の内容、神経診察、必要に応じてMRAや心電図などを組み合わせ、医師が総合的に判断します。
Q4. 寒さで手がしびれるだけなら様子見で大丈夫?
温めて改善し、左右対称で、他の症状がない場合は急を要しないこともあります。ただし、突然の片側症状や言葉の異常などがある場合は例外です。迷うときは安全側の行動をおすすめします。
茂木クリニック 脳神経外科 ブログ(https://motegiclinic.com/blog/)
神奈川県小田原市蓮正寺275-3


