小田原市のもてぎクリニックで診療を行っている、脳神経外科医の茂木秀明です。頭痛・めまい・しびれは、日常でも比較的よくみられる症状ですが、なかには脳卒中や脳腫瘍など、早めの確認が大切な病気が関係している場合もあります。
一方で、すべての症状が重大な病気を意味するわけではありません。大切なのは、症状の出方、始まり方、続き方、ほかの神経症状の有無を整理し、必要に応じて医療機関に相談することです。この記事では、病院受診の判断のお手伝いができるように、頭痛・めまい・しびれで迷ったときに役立つ危険度チェックの考え方を、わかりやすくお伝えします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。急に症状が出た場合、症状が強い場合、判断に迷う場合は、自己判断で様子を見すぎず、医療機関へ相談してください。
はじめに|頭痛・めまい・しびれは「よくある症状」だからこそ判断に迷います

頭痛、めまい、しびれは、日常生活の中で経験する方が多い症状です。
- 疲れのせいかな
- 肩こりから来ているのかな
- 耳鼻科に行くべきか、脳神経外科に行くべきかわからない
- 脳腫瘍や脳卒中だったらどうしよう
このように、不安を感じながら様子を見ている方も少なくありません。特に、インターネットで「めまい 脳」「危険めまい」「脳腫瘍 めまい」などと検索すると、怖い病名が出てきて、かえって不安が強くなることがあります。
大切なのは、症状だけで自己診断しすぎるのではなく、「突然出たか」「片側だけか」「呂律(ろれつ)・手足の動き・歩行・視野などの異常を伴うか」を整理することです。
頭痛で受診先に迷う場合は、下記の記事も参考にしてください。
ブログ記事:危険なタイプの頭痛とは?何科に受診したらよいか迷ったときの受診先ガイド
まず確認したい「危険度チェックリスト」
次のような症状がある場合は、脳の病気が関係している可能性も考えます。特に、突然始まった症状は注意が必要です。
日本脳卒中学会・日本脳卒中協会の資料では、脳卒中は脳の血管の病気であり、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血はいずれも「突然」発症すると説明されています。
参考: 日本脳卒中学会・日本脳卒中協会|脳卒中の予防・発症時の対応
ただし、ここで紹介するチェックリストは、病気を自己診断するためのものではありません。受診や相談を考える目安としてご覧ください。
頭痛の危険度チェック

以下に当てはまる場合は、早めに医療機関へ相談する目安になります。特に、突然の強い頭痛、経験したことのない頭痛、神経症状を伴う頭痛は注意が必要です。

頭痛には、片頭痛や緊張型頭痛のように命に関わりにくいものもあります。ただし、いつもの頭痛と違う、急に強くなった、神経症状を伴う場合は、慎重に判断することが大切です。
参考: 日本頭痛学会|2次性頭痛(危険な頭痛、他の病気に伴う頭痛)
頭痛の受診先に迷う場合は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
参考: 危険なタイプの頭痛とは?何科に受診したらよいか迷ったときの受診先ガイド
めまいの危険度チェック|「耳」だけでなく「脳」も確認が必要な場合があります

めまいは、耳鼻科で扱う病気が原因となることが多い症状です。一方で、すべてのめまいが耳の問題とは限りません。
日本神経学会の解説でも、めまいの原因として内耳性めまいが多い一方、脳卒中や心臓疾患など命に関わる場合もあると説明されています。
参考: 日本神経学会|症状編 めまい
危険なめまいとして注意したい症状
以下のようなめまいは、脳神経外科や救急での確認が必要になる場合があります。

耳鳴り、難聴、耳の詰まり感を伴うめまいは耳鼻科領域で相談されることが多い症状です。また、頭の向きや寝返りで誘発される回転性めまいも耳の病気でみられることがあります。ただし、しびれ、麻痺、呂律(ろれつ)が回らない、強い頭痛、意識障害、歩行困難を伴う場合は、脳神経外科的な確認が必要になることがあります。
めまいと頭痛が続く場合の生活習慣や脳梗塞リスクについては、こちらの記事も参考になります。
参考記事:「めまい、頭痛」が続くあなたへ。脳梗塞のリスクを高める生活習慣と今日からできる予防のヒント
しびれの危険度チェック|片側だけ・突然出たしびれは注意が必要です
しびれは、首や腰の神経、末梢神経、血流、糖尿病など、さまざまな原因で起こります。ただし、脳神経外科の視点では、次のようなしびれに注意します。


厚生労働省の広報でも、顔の片側のゆがみ、片側の腕や手に力が入らない、呂律(ろれつ)が回らない、言葉が出ないなどが突然起こった場合は、脳卒中を疑う症状として紹介されています。
脳卒中を疑うサイン|FASTを覚えておくと役立ちます
脳卒中は、脳の血管が詰まる、または破れることで起こる病気です。日本脳卒中学会などでは、顔・腕・言葉の異常が突然現れた場合に、発症時刻を確認して速やかに行動する「ACT FAST」が紹介されています。

頭痛・めまい・しびれの中でも、突然の片側の症状、言葉の異常、歩けないほどのふらつき、経験したことのない強い頭痛は、特に注意したいサインです。脳卒中が疑われる症状では、様子を見すぎず救急車を呼ぶことが大切です。

下記のブログの関連記事も参考になります。
参考:脳卒中を防ぐために生活習慣を見直そう!〜脳卒中予防と脳の検診の重要性〜
「脳腫瘍 めまい」が心配な方へ
「めまいが続くと脳腫瘍ではないか」と心配される方もいます。脳腫瘍では、腫瘍の場所や大きさにより、頭痛、吐き気、視力・視野の異常、手足のしびれや麻痺、言葉の異常、ふらつきなどがみられることがあります。
国立がん研究センターの情報でも、脳腫瘍が大きくなることで頭痛や視力・視野障害が起こる場合があると説明されています。
ただし、めまいがある=脳腫瘍というわけではありません。めまいの原因には、耳の病気、自律神経の乱れ、血圧、薬の影響、脱水、疲労、睡眠不足など、さまざまな要因があります。
脳腫瘍を心配する場合に大切なのは、次のような変化があるかどうかです。
- 頭痛が以前より強くなっている
- 朝方や起床時に頭痛が目立つ
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 視野が欠ける、物が二重に見える
- しびれや麻痺が続く
- ふらつきが悪化している
- けいれん発作があった
- 症状が少しずつ進行している
このような場合は、医師が必要に応じてMRIなどの検査を判断します。
MRIなどの検査はどんなときに考えるのか
脳神経外科では、問診と診察で症状の出方を確認します。特に重要なのは、次のような情報です。
- いつから症状があるか
- 突然始まったか、徐々に出てきたか
- 片側だけか、両側か
- 頭痛、吐き気、ろれつ、視野異常があるか
- 歩行が不安定か
- 過去に同じ症状があったか
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈などがあるか
- 血液をサラサラにする薬を飲んでいるか
そのうえで、必要に応じてMRIやMRAなどの画像検査を検討します。MRIは脳の状態を詳しく確認する検査で、MRAは脳の血管の状態を確認する検査です。すべての症状に必ず検査が必要というわけではありません。症状、診察所見、年齢、既往歴などを踏まえて、医師が必要に応じて判断します。
脳の検査や健康診断については、こちらの記事でも紹介しています。
参考の関連ブログ: 脳の健康診断について〜高血圧や頭痛、血液検査で異常がある方は要チェック〜
自宅でできる予防と生活の工夫

頭痛・めまい・しびれの背景には、生活習慣や体調の乱れが関係することもあります。脳卒中の予防では、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、多量飲酒、不整脈などの管理が大切とされています。
血圧を確認する
高血圧は脳卒中の大きな危険因子の一つです。家庭血圧を記録することで、診察時にも体調の変化を伝えやすくなります。
睡眠を整える
睡眠不足は、頭痛やめまいの悪化に関係することがあります。就寝時間が不規則な方は、まずは起床時間をそろえることから始めるとよいでしょう。
水分をこまめにとる
脱水は、ふらつきや頭痛の一因になることがあります。特に高齢の方は、のどの渇きを感じにくいことがあるため、こまめな水分摂取を意識しましょう。
急に立ち上がらない
立ちくらみやふらつきがある方は、寝た状態や座った状態から急に立ち上がらず、ゆっくり動くことが大切です。
飲酒・喫煙を見直す
多量飲酒や喫煙は、血管への負担につながることがあります。無理なくできる範囲から生活習慣を見直しましょう。
症状メモをつける
頭痛・めまい・しびれがある場合は、症状が出た時間、続いた時間、きっかけ、伴う症状をメモしておくと診察時に役立ちます。
受診の目安|迷った時は「症状の組み合わせ」で考えましょう
次のような場合は、早めに医療機関へ相談する目安です。
- 突然の強い頭痛
- 片側の手足や顔のしびれ
- 呂律(ろれつ)が回らない
- 言葉が出にくい
- 物が二重に見える
- まっすぐ歩けない
- 意識がぼんやりする
- めまいと強い頭痛が同時にある
- 症状が繰り返される
- 今までと違う頭痛・めまい・しびれが続く
特に、脳卒中が疑われる症状は突然出ることが多いため、顔、腕、言葉の異常を確認するFASTの考え方が役立ちます。一方で、軽い症状であっても、不安が強い場合や症状が続く場合は、医療機関に相談することも一つの方法です。

まとめ|頭痛・めまい・しびれは「危険サイン」を知っておくことが大切です
頭痛・めまい・しびれは、疲労や耳の病気、首・肩のこり、自律神経の乱れなどでも起こります。しかし、次のような症状がある場合は、脳神経外科的な確認が必要になることがあります。
- 突然始まった症状
- 片側だけのしびれや麻痺
- 呂律(ろれつ)が回らない
- 言葉が出にくい
- 強い頭痛を伴うめまい
- まっすぐ歩けない
- 視野の異常や二重に見える症状
- 症状が進行している
「めまい 脳」「耳鼻科 違い」「脳腫瘍 めまい」「危険めまい」と調べて不安になった時こそ、症状を一つずつ整理することが大切です。
もてぎクリニックでは、小田原市の脳神経外科として、頭痛・めまい・しびれについて、症状の経過や神経学的な所見を確認し、必要に応じて検査の判断を行っています。この記事が、ご自身やご家族の症状を落ち着いて整理するきっかけになれば幸いです。
よくある質問
Q1. めまいだけでも脳神経外科を受診してよいですか?
はい。めまいだけでも、症状が続く場合や不安が強い場合は、脳神経外科で相談することも一つの方法です。特に、ふらつきが強い、まっすぐ歩けない、頭痛やしびれを伴う場合は、脳の病気が関係していないか確認が必要になることがあります。
Q2. 耳鼻科と脳神経外科の違いは何ですか?
耳鳴り、難聴、耳の詰まり感を伴うめまいは、耳鼻科で相談されることが多い症状です。一方で、呂律(ろれつ)が回らない、片側のしびれ、麻痺、強い頭痛、歩行困難、意識がぼんやりするなどを伴う場合は、脳神経外科的な確認が必要になることがあります。
Q3. しびれや呂律(ろれつ)が回らない症状がなくても受診してよいですか?
はい。しびれや呂律(ろれつ)が回らない症状がなくても、頭痛やめまいが続く、いつもと違う、生活に支障がある、不安が強い場合は相談していただいて構いません。診察では、症状の出方や経過を確認し、必要に応じて検査の判断を行います。
Q4. 脳腫瘍のめまいはどのような特徴がありますか?
脳腫瘍では、めまいだけでなく、頭痛、吐き気、視野の異常、しびれ、麻痺、言葉の異常、ふらつきなどを伴うことがあります。ただし、めまいがあるから脳腫瘍というわけではありません。症状が続く、悪化する、他の神経症状を伴う場合は、医療機関で相談しましょう。
Q5. 不安だけでも受診してよいですか?
はい。不安だけでも相談していただいて大丈夫です。頭痛・めまい・しびれは、ご本人にとって不安になりやすい症状です。診察で危険なサインがあるかを確認し、必要に応じて検査を検討することで、今後の対応を考えやすくなります。
気になる頭痛・めまい・しびれが続く場合は、早めに専門の医療機関へご相談ください。
茂木クリニック 脳神経外科 ブログ(https://motegiclinic.com/blog/)
神奈川県小田原市蓮正寺275-3


